インタビュー 2021/08/13 「勝手に育つ人を採用したい」ヤバイ社長の採用論 「僕が答えたこと、そのまま書いてくださいね」。歯に衣着せぬ物言いで取材に応じてくれた瀬谷崎将也氏は最後にそう付け加えた。〝ヤバイ治療家集団の社長〟を名乗り、SNSやセミナーでは時折、過激と思える発言も目立つ。「人から嫌われようが関係ないんです。どう思われているとか、あまり考えたことがない」——とはいえ、無軌道な人間に優秀な人材は付いてこない。とんとん整骨院の採用方針、瀬谷崎流・育成術を聞くなかで、業界に一石を投じる異端児の素顔が見えてきた。
瀬谷崎 将也 株式会社とんとん代表取締役 1990年5月9日生まれ。大手整骨院を退職後、2016年にとんとん整骨院を開業。「最上級のサービス」、「誠実な施術」、「顧客満足の追求」をモットーに、現在は東京・神奈川に3店舗の鍼灸整骨院を運営。SNSでは臨床やセラピストの働き方に変革を促す情報を積極的に発信している。 【オンラインサロン】STORIES https://therapistcamp.com/sukumane/salon/detail/5? とんとん公式採用ページ https://tontonseikotsu.com/tonton-recruit/ トワテック Twitterで〝ヤバイ治療家集団の社長〟を謳われていますが、社員採用ではヤバイ(優秀な)素質をどの辺から見抜いているのでしょうか? 瀬谷崎 うちで働いてもらう上で備えていてほしい抽象的な項目がいくつかあるんです。その項目を優先順位別に数値化しているので、一定基準を確認する上で参考にします。他に数値化できない定性的な要素は話を聞きながら判断していますね。 トワテック 施術の技術や知識量も考慮される? 瀬谷崎 後天的に身につけられる要素は重要な判断材料ではありません。ただ、電話対応や基本的な接客を入社してから覚えてもらうのはサムイので、そこはちゃんとできている方。雑な言い方ですけど、うちの土壌で勝手に育ってくれる人の採用を念頭に置いています。結果的に中途採用が多くて、なかには飲食業界からの転職組も何名かいますよ。 トワテック 逆に「こういう人はお断り」みたいな項目はありますか? 瀬谷崎 採用事情をペラペラと喋れないんですが(笑)、僕はその人間の過去を聞くようにしています。過去を語れない、何もしてこなかったと感じる人は基準を満たしません。例えば、挫折や失敗の経験、他人から受けた批判なんかも価値のある経験だと僕は思っています。華々しい経歴や実績だけを指しているのではなくて、ネガティブな要素も含めて、過去に何も経験してこなかった人は絶対に採用されない仕組みになっています。 トワテック 入社後の研修期間(1ヶ月)のカリキュラムを教えてください。 瀬谷崎 一般的な研修はビジネスマナー講座とか偉い人のウンチク話、それに技術練習が多いのではないでしょうか。うちは入社研修の技術練習は1週間くらい、残りは座学が中心ですね。知識がなくてもなんとなくのマッサージならできるんでしょうけど、そういう人たちは詐欺師だと思っているので、実技の前に座学は不可欠というのが僕の考えです。 トワテック 一緒に働いてもらいたい社員の人物像を聞かせてください。 瀬谷崎 ドMの社員かな(笑)。うちは部活感があるんです。全国大会を目指しましょう、日本一を目指しましょう、みたいな雰囲気が。覚えることも多くて、大変なこともいっぱいあるんですけど、仲間の姿を見て頑張れる人が合っているんじゃないかな。土日は一切、仕事をしません、ほどほどが一番みたいなタイプは圧倒的に向いていない。「休みの日に勉強したらダメなんですか?」くらいの食いつきがないと、厳しいと思います。 トワテック そうした雰囲気を作り出す上で、瀬谷崎さんが意識的にされていることってありますか? 例えばモチベーションの上げ方、コミュニケーションの取り方など……。 瀬谷崎 モチベーションの話をするなら、上司は人のモチベーションを下げることはできても、上げることはできないと考えています。採用段階でモチベーションのある人間を取らなければダメですね。全社員とは一人ずつ、週1回の面談を行っています。仕事の進捗、セミナー内容の打ち合わせ、将来のキャリアアップ……。人により様々ですけど、彼氏彼女の相談、旦那さんやお子さんの悩みに乗ることもあります。時には僕が愚痴ることも。いや、愚痴を聞いてもらっている感覚かな(笑)。まぁ、部活ですから色々ありますよ。 (後編へ続く) おまけ動画「瀬谷崎将也に10の質問(前編)」 (後編)「嫌われても痛くもかゆくもない」ヤバイ社長の独立開業論