「お灸をもっと一般の人に普及させたい、どうしたら良いでしょうか?」
SNSには、そんな鍼灸師のお悩みが何度も出てきます。
お灸を通して、より多くの一般の方々に鍼灸を広めるために、もぐさメーカーの山正が描く未来とは…。

【市民マラソンでお灸を体験してもらう】

市民ランナーをお灸で応援する「okyu-runners」という取り組みもされていますよね。

スポーツの現場でも、今後はもっと鍼灸が必要とされるのでないかと考えて、5~6年前から関西地区を中心に年間20か所ほど、市民マラソンの大会に出店しています。
そこで無償で市民ランナーたちにお灸を体験してもらえる機会を提供しているのですが、これは各地の鍼灸師会に声をかけて、地元鍼灸師の先生方と一緒にやっております。

市民ランナーのみなさんの反応はいかがでしょうか。

大変喜んでいただいております。
ブースの入り口に「松尾芭蕉は旅に出る前に足三里にお灸をして旅に出ました」と書いて、「あなたも足三里にお灸をして、今日自己最高タイムを出しませんか」と看板を上げておくんですよ。そうすると、スタートの前にずらりとランナーの行列ができます。
お灸をした方の中で何名かは、その日に自己最高タイムを出してこられます。
その人達は帰ってきて必ず「足三里にお灸をしたおかげで、足がすごく軽かった」と言って、お灸のファンになってくださるんです。

マラソンの会場でお灸の販売もしているのですか?

いえいえ。そこで商品を販売するのが目的ではなくて、「マラソンランナーのケアにも鍼灸は効果あります」という、鍼灸のPRをさせてもらっております。
そして、鍼灸の良さを知っていただけたなら、治療を受けに地元の鍼灸師の先生の所に行ってくださいとお伝えしているんです。

お灸のファンを増やすためだけでなく、「鍼灸院に足を運んでもらう」ところまで考えて、マラソン大会に出店なさっているんですね。

【コロナ禍だからこそのお灸】

新型コロナウイルスの影響はいかがでしょうか。

社会生活の常識が大きく変わってきたと肌身で感じます。特に2020年の緊急事態宣言の間は、弊社も売上が落ちました。
ですが、お灸だけは販売数が落ちないんです。逆にコロナ禍にあっても、お灸の販売数は増えています。
その理由を鍼灸師の先生方に聞いてみますと、鍼灸院さんが弊社の「長生灸」や「つぼ灸NEO NEXT」などのお灸商品を来院できない患者さんに販売してくださっていたからだそうです。
鍼灸院に来られないとき、ご家庭でセルフケアをするのに、とても良いですよと勧めていただいていたと…。
弊社は今のところ、ドラッグストアなど一般向けの販路をひらいていくつもりは無いので、これからも鍼灸師の先生方から、一般の患者さんに販売して頂けるような、そのような商品を作っていきたいと考えております。

鍼灸師が「患者さんにおすすめしたくなるお灸」ですね。
今回お話を伺って、山正さんにとても親しみがわきました。

弊社では、工場見学も受け入れております。
遠いところだとは思いますがコロナが落ち着きましたら、ぜひこの伊吹にお越しください。
現在は、オンライン工場見学もやっておりまして、10人以上の鍼灸師の先生方が集まっていただければ実施できます。お気軽にお申しつけくださいね。

フレンドリーもぐさメーカーの山正さんですね。

【目指すのは鍼灸の地位の向上】

最後に、この記事を読んでいる鍼灸師にメッセージをいただければと思います。

鍼灸師になるために、先生方は3~4年間専門の養成施設で勉強され、国家試験を受けて資格を取得されます。しかし、まだまだ日本の中で鍼灸の地位が低いと感じられる場面もあり、大変残念に思っています。
弊社では業界団体の活動の中で、政治家の方々と鍼灸師の先生方が意見交換できる場を設けるなどの活動もしてまいりました。先生方が単一の業団体を組織され、地位向上のための活動として声を上げられる際には、メーカーとして支援させていただきたいと考えています。

【キュウトヒト。】もぐさの山正━━鍼灸師への想いと描く未来(前編)はこちら→