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連載:とよたま手技治療院・古川容司院長セミナーインタビュー

【前編】筋膜ユニットへのアプローチで機能障害を改善する「スイッチバックテクニック」とは
カテゴリ: インタビュー

トワテック リサーチ

とよたま手技治療院院長、一般社団法人徒手医療協会代表理事を務める古川容司先生が開発した手技療法「スイッチバックテクニック」。身体の機能障害をユニット全体の問題として捉えてアプローチするこのテクニックは、多くの治療家の興味と関心を集め、昨年10月にDVD化された。今回はその理論や効果、さらには技術開発に至るまでのエピソードまでを古川先生の熱い想いと共に伺った。

 

 

ユニット全体の緊張をリセットする。それがこのテクニックの基盤です

 

 

――まずは、古川先生オリジナルの技術である「スイッチバックテクニック」とはどのような手技なのかをお聞かせください。

 

古川 一言でいえば、筋膜を対象とした複合技法です。最も大きな特徴は、機能障害を起こしている部分だけをターゲットにするのではなく、共働関係を持つ筋膜同士を一つの機能単位(ユニット)として捉え、そのユニット全体にアプローチしてゆく点にあります。

 

――なぜユニット全体をターゲットにするのでしょうか?

 

古川 例えば、一部の筋肉が過度に緊張して縮んでいるとします。
緊張した筋肉に引っ張られて骨の並び(アライメント)が崩れますが、これに対して隣接し共働関係を持つ筋膜たちが引き伸ばされながらバランスを取ります。一方で縮み、一方で引き伸ばされた筋膜が、崩れた姿勢でありつつも骨格を安定させています。この状態はまた、ユニット全体としての長さを保とうとしている、という見方も出来そうです。いずれにせよ、相互の影響で収縮・弛緩が自由でなくなるわけです。

 

この時、引き伸ばされた位置関係のままで働かざるを得なくなった筋肉は傷つきやすく、ここが痛みの出所、つまり「患部」になりやすいんですね。

 

 

しかし、この引き伸ばされて「患部」となった筋肉にアプローチすることで緊張を取り除こうとしても、一次的な緊張を取り除かなくては緊張を解くことが難しいんです。通常の治療では、こうした状態は長さの短い側から手を入れて、その後で必要に応じて引き伸ばされた側、つまり患部へ手を入れてゆきます。ところが、こうした一次的緊張と二次的緊張の関係性がユニット上に複数展開されている場合があり、こうなると話は簡単にはゆかなくなります。一方の緊張を解いている間にもう一方の緊張部位からの影響で、再び患部の緊張が戻ってしまう。堂々巡りを繰り返すことになります。それならば、ユニットを全体的に弛緩させることで緊張関係をリセットしてから正常な緊張関係を取り戻すよう働きかけよう、という発想に至ったわけです。

 

――相互作用による障害を、関わり合う広い範囲を対象として正常な状態へと導いてゆく、ということですね。この技術を考案したきっかけは何だったのでしょうか?

 

古川 以前、変形性膝関節症で通院していたある女性の治療がきっかけです。最初は脚全体の機能の回復を視野に入れた施術をしていたのですが、日によって効果が安定しない。

 

そこで「何を診落としているんだろう」と女性の身体を改めて診なおしたところ、痛みのある脚とは反対側の肘が外反していることに気が付いたのです。そのとき骨盤を支える筋膜のユニットについて思い出しました。その文献には骨盤を中心として体幹から大腿部の筋までの記載しかなかったのですが、私はきっと、もっと末梢の、つまり手先から足先までの連続性があるに違いないと考えていたものですから、もしやと思って腕に対して治療を行ったところ、痛みもなくスッとしゃがめるようになったのです。

 

――膝の痛みの原因は、実は腕にあったということですか?

 

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古川 その通りです。先ほども述べましたが、一部の筋肉の緊張が他の筋肉に波及し、原因とは遠く離れた場所に障害が現れることがあります。このケースではそれが膝でした。その時に、傷害された筋肉を単体ではなくユニットで捉えてゆく必要性に気が付いたのです。こうした経験からスイッチバックテクニックの構想が生まれたのです。

 

――日々の臨床での気付きと研究から編み出されたテクニックということですね。

 

古川 私たちは治療を続けるうえで、必ず治療が上手くいかない場面に直面します。そのときに「症状固定」の可能性を考えつつも、本当はなんとかなるんじゃないか、今の自分の常識では見つけられない何かを診落としているだけなんじゃないかと、常にフラットな視点で自分の治療を俯瞰するんです。すると、思いもよらない気付きがある。そうして蓄積していった技術と知識を大勢の治療家に知ってもらい、業界全体を盛り上げる手助けができればと考えています。 

 

プロフィール

写真 古川 容司
一般社団法人徒手医療協会代表理事、とよたま手技治療院院長、とよたまコンディショニング代表、健康運動指導士、介護予防運動指導員。トップアスリートから一般の方・ご年配の方からお子様まで多数ご来院を頂く中で、患部の治療はもちろん、個人の特性に合わせた治療と多彩な運動療法プログラムを提供。故障からの回復・スポーツ障害予防・競技パフォーマンス向上を実現。臨床現場で積み重ねた経験と豊富な知識に基づくクライアントに最適なコンディショニングテクニック、トレーニングや手技療法技術を雑誌等媒体を通じ数多く紹介。一般社団法人徒手医療協会講習会で講師を担当するほか、プロアスリートの試合現場に帯同しトレーナーとしても幅広く活動。4/20に「スイッチバックテクニックの実際」「フラットの実際」セミナーを開催。詳細はこちらから。
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