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連載:とよたま手技治療院・古川容司院長セミナーインタビュー

【後編】新たな発見は「業界の財産」に
カテゴリ: インタビュー

トワテック リサーチ

とよたま手技治療院院長、一般社団法人徒手医療協会代表理事を務める古川容司先生が開発した手技療法「スイッチバックテクニック」。後編では同氏が積極的に開催しているセミナーの内容と、2014年10月に発売されたDVDについて伺いました。

 

業界の信頼を得るためには、自分の技術に縛られないこと

 

 

――古川先生のセミナーは、毎回半数もの受講者がリピートをするほど好評だそうですね。

 

古川 ありがとうございます。セミナーではアンケートを取っているのですが、「明日からの治療が楽しみになった」といった声を頂けると嬉しいですね。もちろん稀に否定的な意見をいただくこともあります。私はそうした意見も大事にしたい。全体の学びの効率化に資すると感じればその指摘をクリアする事には大きな意義があるからです。

 

何よりも、参加された先生方の臨床での実効性を念頭に置いた情報提供に努めて毎回のセミナーに臨むようにしています。

 

――セミナーでは実技を重視しているとのことでしたが、どのように指導されているのですか?

 

古川 受講者同士でペアを組み、お互いの技術を試し合う時間を多くとっています。メカニズム、テクニック、評価の仕方までをお伝えしてその場で実践してもらう流れです。1回あたり20~30人でセミナーを行っていますが、1人1人に直接指導することで、受講者全員に満足してもらえるよう努めています。

 

――教える側も教わる側も、非常に密度の濃い時間になるのですね。受講者からよく受ける質問はありますか?

 

古川 「スイッチバックテクニックはどんな疾患に有効ですか?」といったものです。私はいつも「使い方次第で何にでも対応できます」とお答えしています。というのも、どのテクニックにも言える事なのですが、テクニックはあくまで治療手段の1つであって、例えるなら大工の七つ道具のようなものなのです。先ほどの質問を大工仕事に例えるなら「このノコギリはどんな家を建てるのに有効ですか?」となるかもしれませんね。テクニックは治療の道具であるとの観点に立てば、治療者のアイデア次第でいかようにも応用が利くということです。スイッチバックテクニックは複合技法ですので汎用性の高い道具であると言えます。

 

――特定の疾患を治療するための技術ではなく、その人の手技の幅を広げる道具の1つということですね。それを自身の治療に留めず、セミナーやDVDを通じて広く伝えたいと思われた理由は何でしょうか?

 

 

古川 私たちの役目は、故障のために日常生活に不自由がある患者さんの受け皿になることです。しかし多くの場合、初対面となる患者さんは、こちらの専門家としての力量に対して疑いの眼差しを向けてきます。「こいつは本当に治せるのか?」「騙されるんじゃないか?」と…。

 

もちろん治療を通じて、そうした疑念や不安はほどけてゆくものなのですが、いったい何が患者さんたちにそうした疑いを持たせているのでしょうか。

 

後日談として聞かれる言葉で多いのが、「どこに行っても治らなかった」「ただ通わせられるだけだった」「治らないとこっち(患者の過ごし方)が悪いと叱られた」といった感想です。患者さん側の誤解ももちろんあると思いますが、治療家側の「治せないことの言い訳」「開き直り」と受け取られていることが多いようです。

 

ポツリポツリと聞かれる言葉から察するに、治療家あるいは治療業界に対して「治せない」「治せないことを誤魔化す」といった偏見が根底にあるのだと思います。

 

私たちの治療は患者さんとの二人三脚で紡いでゆくものなのですが、それには患者さんに信頼を得ていることが望ましいわけです。私たちの仕事の障壁がこの業界への不信感にあるとするならば、業界全体がプロとしての技量はもとより、仕事に対する姿勢をより高い水準で示すことで応えて信頼を積み上げてゆく、これに尽きるのではないでしょうか。

 

もはや自分だけが治せる、ではダメなんです。まず、専門家の前提として、患者さんがどこを訪れてもあらかたの問題は解決できること。そして、各自の得意分野が強みとしてあること。さらに、患者さんにとって最適な選択として、より専門的な処置ができる技師に患者さんを紹介することができるような有機的な連携を取ることができれば、業界全体が徹底した患者本位の対応ができるプロ集団として認められると思うのです。

 

このような環境を創れたら、多くの先生がもっと伸び伸びと、そしてやりがいに満ちた仕事ができるようになると思うんです。そんな時代がくる事を願って、草の根の活動としてセミナーをしています。

 

 
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――そのためには、長年の研究の成果でも惜しみなく公開していこうということですね。

 

古川 もちろんです。これだけ情報が開けた社会ですので、見つけたものを囲い込もうとする方がナンセンスだとも感じます。使える!と思ったものはどんどんシェアしていった方がお互いにとって有意義です。仮に私が技術をすべて提供し尽くしても、求め続けているうちはまた新たな発見が待っているでしょう。その発見からまた新しい技術も生まれると思います。興味を持ち続けられるうちは枯渇することはないと思います。だからこのテクニックは門外不出にするのではなく、むしろ「使ってください」と大勢にシェアしていきたいんです。DVDを原価で販売しているのもこれが理由です。1度見ただけで満足せず、技術に慣れてきたころに改めて見直してほしいですね。そうして一層技術を掘り下げ、自分のものにしてもらいたいと思います。

 

DVDも含めて、セミナー活動を通じて発信する情報が、それを受け取った皆さんのひらめきや発見の種となることを願っています。

プロフィール

写真 古川 容司
一般社団法人徒手医療協会代表理事、とよたま手技治療院院長、とよたまコンディショニング代表、健康運動指導士、介護予防運動指導員。トップアスリートから一般の方・ご年配の方からお子様まで多数ご来院を頂く中で、患部の治療はもちろん、個人の特性に合わせた治療と多彩な運動療法プログラムを提供。故障からの回復・スポーツ障害予防・競技パフォーマンス向上を実現。臨床現場で積み重ねた経験と豊富な知識に基づくクライアントに最適なコンディショニングテクニック、トレーニングや手技療法技術を雑誌等媒体を通じ数多く紹介。一般社団法人徒手医療協会講習会で講師を担当するほか、プロアスリートの試合現場に帯同しトレーナーとしても幅広く活動。4/20に「スイッチバックテクニックの実際」「フラットの実際」セミナーを開催。詳細はこちらから。
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