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連載:「刺さない」「熱くない」やさしい鍼灸でメンタルケア

第5回 こころの不調からくる「鬱」へのアプローチ
カテゴリ: コラム

トワテック リサーチ

鬱病は不調の複合体

 

 

 

接触鍼と棒灸を使用したメンタルケアシリーズも、今回が最終回となりました。
最後はこれまでの総復習として、「鬱症状全般」へのアプローチをご紹介いたします。

これまでの連載で取り上げてきたテーマは、すべて鬱の入口です。1つの症状だけであれば改善しやすいですが、複数の症状が重なると簡単に完治できない立派な「鬱病」になってしまうのです。

「これは鬱の前兆かも…?」と思う症状の患者さんが来院したら、他の症状があらわれる前に治してあげるのがベストでしょう。

また、鬱の治療には1年以上の時間が必要です。その間、患者さん自身が改善を自覚できずに来院をやめようとしたら、初診時のカルテを見せてあげてください。大抵の人は最初の主訴を忘れていますので、「あの時はこんなことに苦しんでいたけど、今はずっと良くなっている。自分の症状は改善しているんだ」と改めて治療効果を実感できます。

 

そうして患者さんが自発的に治療に取り組めるよう、信頼関係を構築することが大切です。

 

 

緊張をほぐしてリラックスさせるアプローチ

 

ここでは、頭部、顔面部、へそ、肩・首へのアプローチをご紹介いたします。

 

まずは頭部の熱を、てい鍼で下げていきましょう。頭臨泣、神庭、四神聡、百会を意識して、頭に溜まった気を全身に循環させるイメージでアプローチします。

 

鍼は髪の流れに沿って当て、必ず左右対称に行います。側頭部を重点的に流したら、次に各経穴にてい鍼の先端を当てていきます。鍼先を頭部の中央に向け、30秒ほど保持しましょう。このとき、鍼をゆっくり時計回りに動かすと効果的です。
 


 

続いて顔面部です。輪郭、頬骨、目尻、眉毛、眉上、正中線の順に鍼を当て、顔の緊張をほぐしていきます。

 

それぞれ3回ずつ、必ず左右対称に行いましょう。またその際、左手でフェイスアップをしながら鍼を当てるようにしてください。

 

 

 

 

 

 

次に、温灸BOXを使用しておへそを温めます。

温灸BOXはフタの明け具合により温度を調整することができます。少しフタをあけることでより体が温まりやすくなりますので、患者さんに合わせて調整してください。


また、おへその少し上にある中脘を温めることも効果的です。適宜動かしてみると良いでしょう。

 

 

 

 

最後に、肩・首を棒灸で直接温めていきます。
 

肩・首のなかでもとくに頸椎付近、肩井、肩外兪を意識してください。顔に近い位置のため、無煙棒灸の使用がおすすめです。また、髪の毛を保護するためにタオルで頭部を覆って施術するのが良いでしょう。

 

頸椎の両側を縦方向に棒灸を動かしながら温め、そのまま肩甲骨の内縁・中央部まで棒灸を移動させます。じっくり熱を入れたい場合は、棒灸を持ってい ない方の手で、熱を中に入れるようにぐっと押すと効果的です。

 

棒灸と皮膚との距離は4~5㎝程度が目安ですが、温まりにくい場合にはもう少し近づけてみて ください。皮膚が発赤し、術者の手でも温かみを感じたら終了です。

 

 

いかがでしたか?
今回をもちまして、連載コラム『「刺さない」「熱くない」やさしい鍼灸でメンタルケア』を終了いたします。皆さんの日々の施術のヒントとなれば幸いです。

ありがとうございました。

 

 

 

プロフィール

写真 船水隆広
学校法人呉竹学園 東京医療専門学校 鍼灸・マッサージ科 科長補佐。筑波大学特別支援学校(視覚) 理療科教員免許法認定講習 講師。経絡治療学会 講師。気分障害などの精神疾患の経絡治療を用いた鑑別、診察、鍼灸治療法を研究分野にもつ。学会発表、講演多数。『日本鍼灸医学(基礎編)増補改訂版』(経絡治療学会)改訂委員、『新版経絡経穴概論』(医道の日本社)教科書執筆委員。共著に『鍼灸医学大辞典』(医歯薬出版)がある。
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