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連載:実例で学ぶ、鍼灸院・接骨院・整体院で知っておきたいクレーム対応

第6回 気胸、折鍼、抜鍼わすれ… 知っておくべき鍼治療のリスクと対応の流れ
カテゴリ: 経営

トワテック リサーチ

本会が受ける鍼治療が原因とされる相談のうち、最も多いのは“気胸”で全体の約80%を占めます。残り20%の半数が“折鍼・抜鍼忘れ”、もう半数が“その他”で「内出血になった」「刺鍼痛が消えない」「神経を傷つけられた」などが含まれます。


今回は、この中から、“気胸”、“折鍼”、“抜鍼忘れ”についてお話ししたいと思います。

 

※本コラム執筆を手掛けている一般社団法人日本治療協会(JHA)様についての詳細、資料請求はこちらから

 

 

気胸

 

 

鍼治療が原因または誘因とされる気胸のほとんどは、治療直後から12時間以内に症状が現れます。治療は程度(症状)により、入院治療か自宅安静かに分かれますが、「自宅安静=軽度=治りが早い」という図式は成り立たないようです。

入院は3~7日ほどで、退院時には症状が消失していることがほとんどです。退院後に1~2回の通院はありますが、抜糸や再発の恐れがないかの検査のみで治療がおこなわれることは多くありません。

これに対して、自宅安静の場合は症状が治まるまで3日から3週間以上と幅があります。利用者の話も「風邪と変わらなかった」から「入院の必要がないと聞いて安心していたのに・・・」と様々です。

利用者から鍼治療の後に息苦しさ等の症状を告げられたなど、気胸が疑われるとき時には「様子をみてください」ではなく「早めに病院で検査してもらってください」と伝えることが望ましいでしょう。

 

 

折鍼

 

ディスポ鍼の普及により、折鍼事故は減少傾向にあるとの見方もありますが、本会の集計ではディスポ・非ディスポを問わず折鍼事故は発生し、いわゆる電気鍼を行っていた場合が多数を占めています。

折鍼の発覚は、抜鍼時だけではありません。廃棄のために使用した鍼をまとめているときに短いものを発見したため、該当する利用者全員に連絡し必要に応じて検査を受けてもらったなどといったケースもお聞きします。いずれの場合も、鍼の手元側が残っている場合は保管しておきましょう。
また、利用者がレントゲン検査を受けた時に医師から体内に線状異物があることを指摘されたといったケースもありますが、再検査において異物が確認できず疑惑が晴れることも多いようです。

異物が見つかった場合に摘出するかどうかは医師と利用者の話し合いにより、「症状(痛み)があるかどうか」、「摘出が容易かどうか」といった観点から判断されます。摘出する場合、通常であれば摘出物は破棄されます。そのため「摘出物を確認させていただきたい」と事前に申し出て、提供してもらうよう依頼しましょう。仮に摘出物が線状金属片であっても、腐食していた場合は治療鍼ではないと主張できます。


折鍼の原因について、摘出物が不自然に曲がっている場合は、複数の使用条件が重なり偶発的に発生したものとの見方が強くなります。


ある鍼メーカーに話を聞いたところ、製造過程において鍼体に気泡等が入り強度不足の原因となることが認められる場合、鍼体は曲がらず竹を割ったようにパキっと折れるそうで、状況が確認できればメーカー責任として対応するそうです。検体では電子顕微鏡撮影等により原因が明らかになるため、不良品では?との疑念が強い場合はメーカーに相談してみてもよいでしょう。

 

 

抜鍼忘れ

 

抜鍼忘れにおいて、利用者が自ら鍼を抜いた場合、お詫びと併せて消毒のために皮膚科を受診してもらうよう依頼しましょう。利用者から「万が一なにかあったら、どうするつもりなのか?」とお叱りを受けることもありますが、このような場合にはあらためて菓子折りを持ってお詫びに行くなどの心遣いが必要です。

ただ、結果として何もなかったのであれば賠償責任は生じませんので、執拗な金銭要求を受ける場合には施術事故ではなくクレーマー対応に切り替えて問題ありません。

抜鍼忘れも折鍼も、利用者からの連絡で発覚するケースでは話が大きくなる傾向にあります。施術後には利用者の状態と併せ、使用した鍼の本数と状態を確認するまでが鍼師の仕事であることを心得てください。「やるべきことを怠った」と言われないよう、施術後の流れを再確認してはいかがでしょうか。


半年にわたり掲載させていただいたコラムも今回が最終回となります。

施術事故・クレーム対応は実戦で学ぶものではなく、知識として知る機会も少ないため、一連のコラムが店舗運営に少しでもお役にたてれば幸いです。

最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
 

 

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プロフィール

写真 一般社団法人 日本治療協会
1998年設立。2006年の法人化を経て。20,000人を超える会員とともに現在に至る。国家資格者・民間施術家を問わず利用できる会員保障制度(賠償責任保険適応)を提供し、毎年200件を超えるクレーム対応相談に対して、経験に基づいた立場からのアドバイスを行っている。
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