トワテック メディカルレポート

トワテック通販サイトで人気を博したトワテックメディカルレポートがアーカイブとして復刻。来院患者さまへより良質な施術を行いたいと考えていらっしゃる治療家の方に「施術に活かせるヒント」、「患者さまへお伝えすると喜ばれる健康情報」などが盛りだくさんです。

vol.009Industrial Athletic Trainer(産業アスレティックトレーナー)

アスレティックトレーナーの仕事は単にスポーツチームでの活動に限られているわけではありません。
トレーナーとしての職種は34種類あると言われています。
大学等で教育に携わる者、ジム等のスポーツ施設で指導する者、スポーツ器具や運動プログラム等の開発、営業に従事する者、トレーナー協会やその他の組織で働く者、クリニックや病院で治療につく者等、今トレーナーはスポーツ界のみでなく、多くの職場で活躍しています。
その中でも今回は米国を始め、世界でも見直されつつある産業トレーナーの話をしてみようと思います。

産業トレーナーというのは聞き慣れないかも知れませんが、要するに会社やその他の機関で社員や会員の健康面を担うトレーナーの事をいいます。
例えば会社の昼休みに健康体操を教える人など、見た事ないですか?

米国には日本と同じ労災(worker’s compensation)があります。
これは仕事中に起こった事故、怪我、そして仕事内容がもとで引き起こる慢性疾患(例えば重い荷物を運ぶ人の腰痛等)に対して適応される保険のようなものです。
もちろん会社が負担するのですが社員が多いとその額もかなり大きくなります。
それだけならまだしもその治療の為に仕事を休んで病院でお金を払うのではその時間の労働力の低下とかなりの出費が同時に会社に負担されます。
それらを補うため、産業トレーナーは会社に雇われ(委託もあるが)常時、社内で活動するわけです。
大きな利点は患者は治療の為に仕事に穴を空けなくても済むので、体の方が大事なのにも関わらず、治療の為に仕事を休んだり、早退したりするのを躊躇する人も以外と多い現状の中で良いシステムだと思います。
会社側も能率アップと共に出費を抑える事ができます。
又、大事な事は例えば腰痛等の慢性疾患や手の腱鞘炎のような職業病の予防(トレーナーとしての最も大事な仕事!)、早期の職場への復帰の為の職業別リハビリテーション(部位の筋力強化も含む)、そして障害や怪我に対して周囲の意識の向上に繋がる事です。

プロやオリンピックチーム等の花形スポーツのトレーナーになりたいと思っている人も多いでしょう。
でも実際何人の人がそれらの仕事に付けるのでしょうか?
殆ど全てと言っても過言ではないくらいそれらのチームには既にトレーナーがいます。
トレーナーは監督やコーチ、選手と違って入れ替えは多くありません。
もちろんその夢が叶う、叶わないは問題外で、多くの人は勉強に励んでいる事でしょうが、選択肢を増やすという事で考えてみていいかも知れません。

というのはスポーツチームのトレーナーは知っての通り就業時間が一定でなく、日曜祭日が最も試合の多い日で、遠征の場合は何日も家を空けます。
結婚して家庭を持つと女性のトレーナーは仕事の継続が子育て等から難しくなる事があります。
産業トレーナーの場合はもちろん日曜祭日は休みで(会社も休みなので社員が出て来ない)、遠征や試合はなく、就業時間もほぼ一定です。
勝つ負けると言うプレッシャーがないので自分のペースでストレスも少なく、そういう意味では魅力的です。

僕の友人はLAのディズニーランドでトレーナーをしています。
また別の友人は自動車会社でトレーナーをしています。ちなみに彼らの給料は年収平均で500万円位です。
仕事的には楽と言うと語弊があるけどスポーツチームのトレーナーより時間があるし、規則正しい生活なので気に入っていると言ってます。

日本でも企業(産業)トレーナーがこれから増えていく中、今から焦点を絞っていくのも悪くないかも知れません。

小松 武史先生

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