トワテック メディカルレポート

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vol.037ドーピングとその歴史(前編)

アスリートにとって、いや人間にとって、より速く走り、より高く飛んで、そしてより一層強くなる事は永遠の夢です。
その人間の体の機能を限界まで持っていく為に薬物摂取に頼る選手が後を絶ちません。
これらアスリート達による薬物摂取はドーピングと呼ばれ、その歴史は古代ギリシアにまで遡ります。
古代ギリシアのオリンピアの祭典では、競技へと向かう選手達は羊の睾丸を食べ、体内のテストステロン濃度を向上させていたといいます。

本格的なドーピングが始まるのは第二次世界大戦後です。
戦争が終結し、東西へと分断された世界でオリンピックがいよいよイデオロギーの戦場と化すに連れ、多くの東欧共産主義国がナショナリズムを背負い自国アスリート達への組織的ドーピングを開始したのです。
すると今度は多くの国がテストステロンに代わる合成薬の発見に挑み、1955年、米国の重量挙げ選手団医師ジョン・ツィーグラーがついに筋肉増強剤(アナボリック・ステロイド)を開発しました。

またこの時代に行われたオリンピックでは、ステロイドが更に選手達の間で蔓延しはじめ、アメリカン・フットボールなど攻撃性を必要とする多くの競技で選手達に利用されました。
そしてそうした薬物の蔓延を受け、1973年には英国のレイモンド・ブルックス博士がステロイドの検査方法を開発、その2年後からようやくステロイドの使用が全面的に禁止されるようになります。
しかし当時、それらの検査が行われるのは実際の競技期間だけであった為、結局選手らはコーチらの指導のもと、トレーニング時にステロイドを服用して身体を鍛え、競技期間のみ服用を止めるといった実情であったと伝えられてます。

また続く1980年代にもドーピングは引き続き行われ、特にこの頃からは女性アスリートもそうしたステロイドなどを使用するようになり、また女性アスリートの場合は特に、男性ホルモンであるテストステロンが強く作用することから、そうした薬物の投与によって、その身体に大きな変化を見せる選手も多かったといいます。

小松 武史先生

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