トワテック メディカルレポート

トワテック通販サイトで人気を博したトワテックメディカルレポートがアーカイブとして復刻。来院患者さまへより良質な施術を行いたいと考えていらっしゃる治療家の方に「施術に活かせるヒント」、「患者さまへお伝えすると喜ばれる健康情報」などが盛りだくさんです。

vol.039ドーピングとその歴史(後編)

1988年、ドーピングはいよいよ世界を巻き込むスキャンダルとなって一般的認知を得ます。
その年行われたソウルオリンピックの男子100m決勝で、宿敵カール・ルイスを破り世界記録を樹立して優勝したカナダのベン・ジョンソンが、ドーピングを受けていた事が発覚しました。
僕もちょうどこの時は選手村で米国陸上チームの選手たち一緒にカールを応援していて(当時、USAオリンピック陸上チームトレーナーでした)、決勝で負けてみんなで残念がった事を覚えています。
後にベン・ジョンソンが失格となり、カールが金メダルを獲得したのですが…。

翌年1989年には国際アスレチック機関により抜き打ち検査が開始される事になるのですが…その日以来、女性の種目12種目で世界記録が更新されていないというのは何とも皮肉な話であります。

またベン・ジョンソン以降では1994年のアジア水泳大会でも中国の競泳者7人のステロイド使用が発覚し、またその4年後のトゥール・ド・フランスにおいては、フェスティナチームの車から大量のドラッグが発見され、その年の大会から追放されるという事件が起こってます。
また昨年にも世界陸上で二つの金メダルを獲得した米国のケリー・ホワイトが薬物使用でメダルを剥奪され、以後数年に渡る参加資格を剥奪されるという事件が発生しました。

メジャーリーグではバリー・ボンズやマーク・マグワイア、サミー・ソーサなどが、筋肉増強系の薬物を使って筋力を向上させ、ホームランの量産の為にドーピングを使用した事が問題になってます。
その他、映画俳優のスタローンやシュワルツネッガー(僕らの知事!?)や…数え上げればきりがありません。

検査法も発達して来ていますが、それに対して次なる新薬の登場や血液ドーピング、遺伝子ドーピング等、今後もある種のいたちごっこ的な展開は否めません。

ドーピングを長く経験した選手のほとんどが精神的、肉体的なダメージを引きずり、中には車いす生活を余儀なくされたり、体の異常をいまだに訴えたりと苦しい副作用に悩まされています。
若い選手はみんなも使っているとか、メダルを取れば生活(収入が)向上するとか、有名になりたいとか、いろいろな理由で副作用を考えずに安易に手を出すようですが、こればっかりはトレーナーとして、選手を管理する僕たちがドーピングに対してしっかりした知識を持ち、指導していく事が大切です。

小松 武史先生

最近チェックした商品