トワテック メディカルレポート

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vol.0173股関節痛について

今回は股関節痛色々についてまとめたいと思います。
股関節の痛みには年齢や性別によって想定される疾患が違います。
ポイントを押さえた鑑別診断が的確な治療の始まりです。
参考にしてみてください。

<変型性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)Osteoarthritis of hip joint

原疾患(他の股関節疾患)などがあり、それによりひき起こされた股関節症のことを二次性変形性股関節症といい、原疾患がわからない股関節症のことを一次性変形性股関節症という。

日本においては二次性股関節症が多く原疾患として

  • 先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全(変形性股関節症の約90%以上を占める)
  • ペルテス病
  • 大腿骨頭壊死
  • 骨端線離開
  • 外傷(大腿骨頚部内側骨折、股関節脱臼)
  • などがある。

症状

初期は動作の始めに強い痛みを覚え、動作中は軽快するのが普通で、症状の進行とともに痛みは持続的となり歩行も休みながらでないと不可能になる。
次第に夜間痛も覚えるようになり、睡眠も障害される。

治療

患肢(病気をもっている側)への負担を減らすために体重を減らすことやステッキ(杖)を使用する。
また、治療としては温熱療法、薬物療法、装具等が行われるが、手術が必要となる場合もある。
変形性股関節症は病期によって、前股関節症、初期股関節症、進行期股関節症、末期股関節症の4段階に分類される。
年齢や病期によって、手術療法もさまざまであるが、進行期~末期股関節症では高齢になると人工股関節置換術になるケースがある。

<特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこっとうえししょう)ION:Idiopathic OsteoNecrosis

成人の大腿骨頭阻血性壊死で病因不明のことが多いが、ステロイド剤の使用、SLE、アルコール多飲、大腿骨頚部骨折、股関節脱臼などが原因となる場合がある。

症状

突発的な股関節、大腿、膝にかけての痛みがある。
多くは階段の踏み外しや重い物を運ぶときに痛みを覚える。

治療

保存的治療としては、免荷、手術は病期により異なるが、大腿骨骨切り術や人工骨頭置換術がおこなわれる。

<大腿骨頭辷り症(だいたいこっとうすべりしょう)Slipped upper femoral epiphysis

大腿骨頭が徐々にすべることが多く、外傷などで発生するが、すべりを生じる潜在的異常があると考えられているが、原因不明である。

発症

10~16歳の成長期の男性に多く、両側性が約20%で、さしたる外傷でなくても発生する。
肥満児に多い。(成長ホルモン過剰に関係ありとされている。)

症状

初発時の疼痛は安静により軽快する。
股関節痛や疲労感などで、徐々に跛行がみられるようになる。
運動制限がみられ、進行すると激しい疼痛をともなう場合がある。

治療

保存療法として牽引、整復などがあるが、手術療法が主体となる事が多い。

<特発性一過性大腿骨頭萎縮症(とくはつせいいっかせいだいたいこっとういしゅくしょう)

発症

外傷や炎症など特別な原因なく、成人の片側股関節に疼痛を伴う骨萎縮が一過性に生じ、自然回復をえる。
発症年齢は20~60歳であるが、多くは20~30歳で妊娠に関連している事が多い。
男性や女性でも妊娠と直接関係ない例もある。

症状

女性で妊娠に関連して生じる例では、妊娠8~9カ月ごろより、誘因なく、多くは片側股関節痛の出現が始まる。
歩行により疼痛が増強して歩行困難となる。
運動痛を伴う。
一時疼痛が消退し出産後再び増強する場合もあるが、多くは出産後まで持続する。
妊娠に関係のない女性および男性では、徐々に疼痛、跛行の出現することもあるが、運動時に急性疼痛として発症し、以来歩行時疼痛の増強がみられる例もある。
妊娠に関係ない場合が両側とも発症しうる。

治療

治療はとくになく、数カ月の免荷のみで疼痛は軽快する。
MRI撮影にて発見される。

北村 大也先生
整形外科医

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