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コラム

摩訶不思議!中国鍼灸器具の知られざる世界 -縁里庵かつもと鍼灸院院長 勝元宏亮-

2021/09/01

本場の鍼灸器具に魅了され、中国に通うこと10年、集めたお灸アイテムは100種類以上!
そのコレクターぶりから、関西系列のバラエティ番組でも紹介されるほどの勝元宏亮先生。患者さんからも大好評の勝元先生が選ぶ「中国お灸アイテムBEST3」を紹介していただきました。日本ではお目にかかれない、中国鍼灸器具の知られざる世界へご案内します。

鍼灸学生の頃、とある出版社が主催していた老中医セミナーの参加をきっかけに初めて中国を訪れました。現地は多くのお灸専門店が軒を連ねていますが、日本よりも艾の種類が豊富でさらに安価です。コロナ禍以前は大きなトランクケースがパンパンになるくらいの買い物をしていました。道具屋さんの近くにホテルを借りて、部屋とお店を往復するんです。

中国で購入した棒灸を治療に使用していますが、純艾100%の他に様々な漢方薬が練り込まれたものなど、日本ではお目にかかれない商品が多くて面白いですよ。なかには粗悪品や同様の商品でも店舗によって価格が違いすぎるケースがあるので、信頼できるお店を探すことが大切です。僕は北京中心街の道具屋を散策することが多いんですけど、点数を買って値切ってくれるお店よりも、確実に定価で購入できるお店を選んでいます。

——と、前置きはこれくらいにして、買ってよかった「お灸器具ベスト3」を紹介します。正式な商品名ではなくて、あくまでも僕の〝呼び名〟ですので、ご承知おきください。

勝元宏亮先生が選ぶ中国お灸器具BEST3!

NO.1「耳灸」

日本ではお目にかかれないヘッドフォン型の斬新な「耳灸」こちらは樹脂製の耳灸になります。以前から面白そうな商品だなと興味を持ち、1年前の新発売と同時に輸入しました。こちらの耳のお灸は、自律神経系の症状に有効です。一気に耳ツボを刺激する感覚と表現すればよいでしょうか。熱すぎるということもなく、患者さんは施術中、とてもリラックスされているようです。長引くコロナの影響で、肉体的・精神的に疲弊している患者さんも少なくないので、他部位のお灸治療と合わせて使用しています。施術中は10分程装着しているため、耳の黄ばみを防止するためにティッシュを一枚挟んでおくのもポイントです。

NO.2「督脈通陽法専用灸」

2本を背中にかざして経絡上を流すことで温度が6℃も上昇!
(irodori TOKIWAをご使用いただきました)
ロウソクのように棒灸を刺して、背中の経絡上をスーッと流すためのお灸器具です。中国の棒灸を3本ずつ、左右に計6本刺したものを、経絡に沿ってゆっくり横移動させると熱さの温度差が生まれます。10分の施術で背中の温度が32℃から38℃まで上昇しますので、リラックス効果は抜群です。ほのかな温感を継続して与えてくれるので、特に耳管狭窄症やうつ病、自律神経系の症状の患者さんに効果的。経絡をじっくりと温めるので、その気持ち良さから皆さん、施術中に熟睡されています。煙がモクモクと立ちのぼるため、治療院が真っ白になってしまうのが欠点ですね。

NO.3「首灸」

従来のお灸器具のイメージをくつがえす近代的なデザイン!実はこれ、「首灸」なんですが、うつ伏せ状態でも使えて、とても便利なお灸器具です。首を温めるお灸器具は日本では珍しいのではないでしょうか。僕は切り艾を詰めて使用していますが、温度調節が可能で、髪の毛が燃える心配もありません。穏やかな熱伝導で首全体をじっくり温めてくれるので、患者さんはとても喜びます。見た目もカッコイイですし、何より安全性に優れている点もオススメです。おそらく、中国ではセルフケア用のアイテムだと思います。首灸の使用中は患者さんに掛かりっきりにならずに済むので、施術時の安心感はとても大きいです。

龍の刻印が輝く「棒灸BOX」の凄すぎる実力……!!!

ビジュアルは最高に格好良く施術では最高に熱くなる逸品!僕は興味を持った道具はとりあえず買ってみることにしているのですが、期待して買ってはみたものの「あれれ?」という道具も少なくありません。商品到着後、手に取ってみてうな垂れてしまった、残念系のお灸器具を2点紹介したいと思います。

まずは龍の彫刻が目を惹く「棒灸BOX」です。一見、急須に見えなくもないですが、銅製の棒灸入れになります。一言で説明すると尋常じゃない熱いさになります。自分のお腹に乗せてみたところ、熱がダイレクトに伝わってきて、とても置いてはおけない。取り外そうにもBOX全体が熱いので、アチチ……!という感じで。今では完全に治療院のインテリアと化しています。

装着すると艾をつめる金具が顔表面のアチコチに……。勝元先生も思わず試用をためらったとか。これは怖い。。。二つ目は「眼鏡型くるみ灸」。目元から眉毛、こめかみまでを同時に温めるお灸器具になります。一見、画期的ですが針金が不安定のため、顔に装着した瞬間に鉄製の灸が接触して火傷を起こす可能性が非常に高い。こうした商品は施術には使用できませんし、自分で試した時はメチャクチャ怖かったです(笑)。

使用する艾、煙、重量はダントツ!「超大型箱灸」

これが箱灸!?と聞き返してしまうほどの迫力と艾の収納性番外編としてご紹介するのが「超大型箱灸」になります。これは蓋部分に切り艾を刺して、下部分に艾を敷いて使用します。背中に乗せて肩甲骨から腰までを一気に温めるんですが、初めて試した時は空気穴から大量の煙が漏れて火事のようになりました。加えて結構な重量もありますから、背中に乗せているだけでかなりしんどいです。この道具のために治療院の換気扇を増やしたものの、今ではちょっと面白いネタアイテムの位置付けになってしまいました。使用する艾もかなりの量が必要になりますし、火を点けるだけでも結構な時間がかかりますからね……(苦笑)。

勝元 宏亮(かつもと ひろあき)

縁里庵かつもと鍼灸院院長
国際東洋医療鍼灸学院卒業後、6年間の病院勤務と並行する形で2010年に同治療院を開業。
本場・中国の鍼灸器具、オリジナルの鍼灸器具を用いた治療で、肩こり、腰痛、自律神経失調症、美容鍼まで様々な症状に即した治療を行う。メインターゲットは〝コリ〟。
肩こり腰痛の原因となるコリから自律神経失調症に起因したコリまで幅広く対応している。HPに掲載している「眼灸」はサービスで実施中!