トワテック メディカルレポート トワテック通販サイトで人気を博したトワテックメディカルレポートがアーカイブとして復刻。来院患者さまへより良質な施術を行いたいと考えていらっしゃる治療家の方に「施術に活かせるヒント」、「患者さまへお伝えすると喜ばれる健康情報」などが盛りだくさんです。
vol.017米国カリフォルニア州における鍼灸師の実際 今回は日米の鍼灸免許に関わる相違点から、今後の業界の発展にどのように影響していくかを考えていきたいと思います。 日本に於ける鍼灸師の免許は終身制です。これは一度免許を取得すれば違法な事をしない限り、生涯その免許を保持出来るという事です。 これに対して米国(これからのお話はカリフォルニア州の免許)では2年間に50時間の講習やセミナーを受講しなければ(これをCEU制度と言う)免許を更新する事が出来ません。 更新費用は$325(日本円で約3万円強)で更新を怠ると免許が使えなくなります。 最悪の場合は再度の資格試験を受験しなければなりません。 この制度は僕たち鍼灸師にとってある意味、面倒な事ですし、費用も生涯かなりかかります。 しかし、鍼灸師の資質や情報、そして技術向上の為には大変良い制度かとも思います。 又、鍼灸学校では上級時にインターン制度があり実際の患者の治療を有資格者であるスーパーバイザーの元で数千時間(学校によって異なるが)行います。 これは卒業後直ぐに治療活動をする為に最も重要な事です。 この2点は僕自身、日本でも導入するべき制度だと思います。 実際に日本で免許所得後、直ぐに開業して成功するというパターンが少ないのはこの為かとも思います。 先の調査結果では鍼灸学校でのトレーニングプログラムは開業一年目の治療に役立っているかという質問に63.8%の人がYESと答えています。 又、卒業後にも自分の技術向上の為に77.7%の人がCEU以外でセミナーやその他で学んでいると答えています。 セミナーの内容は中医学 (12.2%)、精神医学 (11.3%)、漢方薬学 (7.7%)、栄養学 (3.9%)、整形外科学 (10.9%)、婦人科学 (3.9%)等です。 治療で専門を持って経営している人も少なくありません。 以前、僕がスペシャリストとして活動する方が今後は道が開けると言っていたのと同調する流れです。 ペインマネージメント 、中毒症リハビリテーション(ドラッグやアルコール等)、エイズ、肝炎、麻痺、婦人科疾患、不妊症など2割以上の人達が何らかの焦点を絞って活動しています。 最後に大きな相違点として米国(特にカリフォルニア州、ニューヨーク州)は治療で保険請求が出来る事です。 保険会社によって支払われる金額に差異が出て来ますが僕のクリニックの場合少ないと$25~、多いと$220が一回の治療で支払われます。労災でも$80位です。 又、カリフォルニア州の鍼灸師は漢方薬剤師も兼ねているので漢方薬の処方が出来、治療にも大きく貢献しています。 小松 武史先生