トワテック メディカルレポート

トワテック通販サイトで人気を博したトワテックメディカルレポートがアーカイブとして復刻。来院患者さまへより良質な施術を行いたいと考えていらっしゃる治療家の方に「施術に活かせるヒント」、「患者さまへお伝えすると喜ばれる健康情報」などが盛りだくさんです。

vol.029日射病と熱射病について

この季節になると学生時代にアスレティックトレーナーとしてフットボールの練習に暑いところ、かり出された事を良く思い出します。
もちろん練習は朝早くから始まり(涼しいうちに)、昼は屋内での練習やミーティング、夕方頃から又フィールドに出て練習をしました。
練習中にはしっかり選手に水分補給してもらう様に僕らなりに色々工夫しました。

練習前後には体重を量り、それをグラフにしてロッカーに貼ってみんなで注意し合いましたが、それでも必ず何人かは倒れる選手がいました。
選手も根性や気合いを入れて頑張って(この辺は日本も米国も同じ?)、少々のふらふらぐらいでは泣き言など言わないのはいいのですが、、、
ぼくらトレーナーはそうは言ってはいられません。下記に比較したものはある意味僕らにとっては常識(でなければだめよ?)です。
もう一度確認して、知らない選手や父兄、子供達にも教えて上げられる様に身体で覚えましょう!
身体で覚えるというのは試験で書けても、実際に現場で選手が倒れた時に緊張しておろおろしない様に叩き込む事です!

日射病

夏の暑い日差し(フットボールのヘルメット装着時等も含む)を浴びて歩き回ったときに体がオーバーヒートして起こります。
もちろん地面からの放射熱、弱い風、湿度もかかわり、汗の蒸発が不十分で、身体から熱が発散されずにおこります。
血圧も上がり、顔が赤くなって息遣いが荒く、皮膚は暑くてさらさらと乾いた状態で汗が出ません。
そして、目まいや頭痛、吐き気などの症状が出ます。症状がひどいときは意識不明になり死亡することもあります(意識がおかしい時は救急車要請!)。
日射病を防ぐには頭や顔を保護するつばの大きい帽子を被り、その下にタオルなどを入れ、後頭部と首に直射日光が当たらないようにします。
日射病にかかってしまったら風通しのよい涼しい木陰などに頭を高くして寝かせ、衣服やベルト等を緩め、濡れたタオルで首筋や腋の下などを冷やします。
あおいだりして風を送り(気化熱で身体を冷やす)、体温が平温になるまで続けます。
塩分の含んだ水 (スポーツドリンクなど電解質を含んだものも良いがあまり冷たすぎない様に) を少しずつ充分に飲ませます。

熱射病

高温多湿の下で長時間歩いたり作業をした時に、大量の汗をかき、体内の塩分や水分が著しく不足して起こります。
つまり、体温の調節が効かなくなって起こるわけです。血圧が下がる為、顔は青白く大量の汗が出、皮膚は冷たくじっとりとした感じになります。
体温は普通かやや低めで脈は弱くて早い。
虚脱感とともに、目まい、吐き気が伴います。
熱射病を防ぐには高温多湿の所、例えば夏の炎天下のテントの中での作業などは長時間に及ばないようにします。
作業中はこまめに水分や塩分を補給しておきます。
熱射病にかかったら、涼しい木陰に頭を低く足を心臓より高くして寝かせ、体温が低いようなら体を暖めます。
水か薄い食塩水(食塩の濃度は0.2%ぐらい)を15分おきに飲ませます。

いつも言っている事ですが、トレーナーとして一番大事な事は予防です。
診断や治療、リハビリよりも何よりも、そうならない様に予防する事が一番大事です。
気象や環境、そして選手の状態に応じて、起こりうる事を想定(予見)して動けるトレーナーになってください。
水分補給も水が飲みたいと思った時は生理的には遅いという事も踏まえて、練習の前から規則的に補給出来る状態を作って下さい。
今回の予防の基本は暑さや湿度に慣れておく事と、十分な水分補給でした。
これから真夏本番、しっかり管理して、ばっちり鍛えて下さい。

小松 武史先生

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