トワテック メディカルレポート

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vol.0159前十字靭帯(ACL)損傷について part.2

今回も前回に引き続きACL損傷について見ていきたいと思います。
前回は解剖・発生機序・治療についてでしたが、今回はリハビリテーションについてです。

前回少し触れたように、リハビリも大きく分けて2つ。
保存療法におけるリハビリと手術後におけるリハビリに分けられます。

まずは保存療法におけるリハビリですが、下肢筋力訓練・敏捷性訓練・動揺安定性訓練などのリハビリメニューを行います。
特に動揺安定性テストは重要で、筋力訓練と敏捷性訓練のみ行って復帰したものに対して、膝崩れのエピソードが優位に少なくなるとも言われています。
動揺安定性訓練とは、不安定な着地面に対して、体を安定させる様に力をコントロールする訓練で、ロッカーボードやローラーボード、バランスパッドやボスバランスなどに乗ったり、片足のみをのせて行う方法が一般的です。
このトレーニングを行うことで、力の配分や方向感覚、予知能力が向上します。
あくまでも保存療法に対するリハビリは競技シーズンを全うするためのもので、シーズンオフには手術を勧めるべきであると考えます。

次に手術後におけるリハビリですが、術後2週までに自動屈曲90°可能にし、6~8週で可動域をフルにしなくてはならなりません。
そして、リハビリ後半の6~12週では筋力訓練をメインにし、およそ8週で患側の筋力が健側の80%に達していればランニングを開始するようにします。
12~20週(競技復帰期)には徐々に運動を多様化し頻回にして行き、およそ4~6か月でリハビリの全過程を終了するようにするのが望ましいと考えます。
ただ、その際に患側の大腿四頭筋力と跳躍テストが健側の90%に達していないといけません。
さらに、膝の安定性に不安がある人は、自信が持てるまでファンクショナルブレースは装着するようにしましょう。

2回に渡りACL損傷について記載してきましたが、リハビリから競技復帰には細心の注意を払い、患者・医者・リハビリ従事者がしっかりとコミュニケーションを図り現場復帰させる様に努めていきましょう。

北村 大也先生
整形外科医

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