vol.0165足関節所見のポイントについて
前回は前距腓靭帯に的を絞って見ていきましたが、今回は足関節全体に幅を広げて見ていきたいと思います。
まずは、主な足の関節を列挙してみます。
距腿関節
脛骨・腓骨の下端と距骨の上面との間のらせん関節。
狭義の足関節。
足関節の背屈・底屈のほかに、底屈位でわずかな内・外転が可能。
距骨下関節
距骨下面と踵骨上前面との間の顆状関節。
内がえし・外がえしはこの関節で起こる。
横足根関節(ショパール)
踵立方関節と距舟関節からなる。
わずかではあるが、背屈・底屈・内がえし・外がえしに関与。
足根中足関節(リスフラン)
足根骨と中足骨との間の関節。
わずかではあるが、背屈・底屈・外転・内転に関与。
中足間関節
横アーチが形成される部分。
指節間関節
PIP・DIP関節に分けられ、いずれも蝶番関節。
以上の主な関節を念頭に置き、足関節の所見の取り方の1例をご紹介します。
時間的な目安として約5分ですべてをチェックできる事が理想です。
- 受傷機転を確認。
- 外側か内側かを判断する。
- 足関節中間位にして踵腓靭帯から触っていく。
- 腓骨筋腱からラインを見る。
- 足根洞を触る。
- リスフラン関節の痛みの有無、二分靭帯の痛みの有無(踵骨・立方骨・舟状骨を狙って圧痛の有無を確認)、三角靭帯の痛みの有無。
- 前方引き出しテスト。
- 各関節を一つずつ動かして、痛みや圧痛が無いかを確認。
- どの靭帯が損傷しているのかを想定する。
これら所見の正確性を高めるためにも、まずは骨シェーマと靭帯との位置関係を理解し、圧痛から調べていく事が望ましいです。
また外側靭帯損傷と同様の受傷機転で発生する外傷には、距骨滑車骨軟骨骨折・踵骨前方突起骨折(二分靭帯損傷)・足根洞症候群等があります。
上記、所見の取り方でも靭帯性か骨性かで鑑別が難しい部位の確認をしたいと思います。
外果側の圧痛
特に子どもの成長線にかぶったときに靭帯の真ん中に痛みが起こります。
足根骨側
骨折の場合は荷重痛があって、関節面に問題があると考えましょう。
圧痛で判断する場合は、外果側は骨折を疑うため、鑑別として外果をタッピング(骨膜の場合は振動痛が必ずある)します。
臨床では音叉を使用すると分かりやすいです。
(近位部の靭帯損傷の場合、振動が強くないと分かりにくいですが、骨膜に何か問題がある場合、軽い振動でも分かりやすいです。)
リスフラン靭帯
靭帯・骨(関節面)の場合も考えられます。
荷重痛でも分かりにくく、圧痛部位を確認しながらアーチを離開したり、アーチをつくったりしてみましょう。
- 両側で痛い場合→靭帯性ではない。
- 片側で痛い場合→張力が働いている方が靭帯の痛み。
- 関節の場合→モビライゼーションを行って痛い場合は関節面の損傷を疑う。
※診断を正確にするための触診は、靭帯は伸ばす・関節はぶつける・骨は振動痛がある、を理解すると分かりやすいと思います。
- 北村 大也先生
- 整形外科医