トワテック メディカルレポート

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vol.098骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療は骨折・転倒を予防するためにあります。
そのためには、食事療法、運動療法、薬物療法、環境整備が重要です。
以下ではその4つについて説明しています。

1. 食事療法

カルシウムの多い食品群を摂取することを心がけます。
カルシウムは乳製品や魚介類だけでなく、豆腐などの大豆製品や、小松菜などの野菜類にも含まれています。

またカルシウム以外もタンパク質やビタミンDをバランスよくとることが重要です。
タンパク質の一種であるアルブミンが少ない場合は低栄養状態のことが多く、筋力低下を来しやすくなります。
ビタミンDが不足した場合は、筋力低下だけでなく、バランス能力や歩行能力の低下も来すことが分かっています。
カルシウムを効率よく摂取するためには食べ合わせも大切です。

塩分やリンの摂り過ぎは腎臓からのカルシウムの排泄量を増やしてしまいます。
骨粗鬆症予防のためには塩分摂取を控えることが重要です。
またリンは加工食品などの食品添加物として多く含まれており、加工食品の摂取には気をつけなければいけません。

また野菜やピーナッツに多いシュウ酸や食物繊維はカルシウムの吸収を阻害するので注意が必要です。
カルシウムの摂取に向いているのは乳製品や大豆製品です。
これらの食品はカルシウム以外にも多くの栄養素が含まれており、その点でも積極的に摂取することが望ましいです。
カルシウムの摂取量は思春期は1000mg以上、更年期や老年期は800mg以上の摂取が必要とされています。

ビタミンDは食事からの摂取以外にも、紫外線を浴びると皮膚でも合成されます。ビタミンD摂取により腸管からのカルシウム吸収が増加し、筋力増強や運動能力向上も期待出来ます。
ビタミンDは魚介類や卵、キノコ類に多く含まれています。
1日に30分程度は日に当たるとともに、これらの食品群も摂取することが必要です。

2. 運動療法

運動には直接骨を強くする効果と、身体能力の向上により、転倒する危険性を減少させる効果があります。
骨を健康に保つには重力の刺激があることが重要で、水泳や水中歩行などよりは普通のウォーキングやエアロビクス、ランニングの方が有効と考えられます。
筋力トレーニングやバランストレーニングは転倒率を減少させることにより骨折を予防します。
ウォーキングなどに加えてこれらの運動も行うことが骨粗鬆症や転倒の予防には重要です。

3. 薬物療法

正常の骨組織では、古い骨が吸収される骨吸収と、新しい骨が形成される骨形成がバランス良く働いています。
しかし、加齢や閉経後の女性ホルモンの欠如、喫煙、多量の飲酒などにより、骨吸収が骨形成を上回ると徐々に骨密度は低下していきます。
また骨密度だけでなく、骨質も低下し骨強度は低下していきます。

薬物療法では骨形成を促進する薬か、骨吸収を抑制する薬がメインの薬として使用され、ビタミンD製剤やカルシウム製剤が追加されたりします。
骨形成促進剤や骨吸収抑制剤は、骨密度を多少なりとも改善させることが可能です。

また研究により骨折を予防する効果も確認されています。
これらの薬が臨床で積極的に使用されるようになった頃から、骨粗鬆症は予防出来る疾患と考えられるようになりました。
また食事療法のところでも述べた通り、ビタミンDとカルシウムは骨代謝に非常に重要な働きをしており、食事からの摂取だけでなく必要であれば薬で補うこともします。

4. 環境整備

濡れた場所、段差、整頓されておらず、ものが散らかっている屋内。
これらは転倒の原因となりうる環境です。
これらの部分にも十分配慮していく必要があります。

北村 大也先生
整形外科医

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