発売当初からその存在を知っていたものの、稲垣先生がセラミック電気温灸器を使い始めたのは、ここ半年〜1年のこと。「初めて紹介された時は使い勝手が良さそうだなと思いつつも、価格を聞いて、ウッ…とね(笑)。コロナの影響で出張鍼灸が増え始めた時期に購入しましたが、評判通りの性能の高さに満足しています。これだけの機能が備わっているなら価格にも納得です」。エビデンスを重視した治療を心掛けている稲垣先生を頷かせたセラミック電気温灸器の実力について、お話を伺いました。


積極的に活用したくなるエビデンスが存在します

数年前にセイリンさんの担当の方が、セラミック電気温灸器のデモ機を持ってきてくれたんですね。1~2週間程、試用してみて好感触を得たのですが、当時はコスト面を考えると使いこなせるか不安な部分がありました。それが、昨年から今年にかけて世界がコロナ一色に染まり、我々の業界にも少なからず影響が出ました。

私は新宿・大久保に店舗を構えているので、場所柄、地元のサラリーマンからスポーツ選手、飲食店関係者まで、様々な職種の患者様が訪れますが、首都圏を中心に遠方から通ってくださる方もいたのです。出張鍼灸の持ち運びの利便性やお灸の香りが苦手な方の治療、さらには私自身のセルフケアを考えた結果、セラミック電気温灸器を導入することを決めました。

デモ機を試用した段階で、温度上昇の速さ、設定温度をキープしてくれる精密性など、随所に品質の高さを感じていました。

ですが、一番の決め手となったのは村田製作所という電子部品のトップランナーが製造した〝国産〟の安心感ですね。様々なメーカーが電気温灸機を開発・製造していますが、「セイリン×村田製作所」の信頼は揺るぎないです。私は機器を用いた治療ではとりわけエビデンスを重視しているので、高度な研究機関で効果の臨床が行われている点も説得力を感じました。

セラミック電気温灸器を施術に組み込むと、想像以上に小回りが利くアイテムだということが分かります。例えば、お灸を立たせづらい部位にピンポイントで温熱刺激を与えることができますし、ギックリ腰など患者様が体勢を取りにくい急性期の症状にも、出来るだけ負荷を掛けずに治療することが可能です。

うちに来られる患者様は腰痛、肩こり、捻挫、脱臼、骨折などの症状を訴えられる方が多いのですが、従来のお灸を希望される方や周辺部一帯を温めて、筋肉の緊張を緩めたい場合は、お灸で治療します。釜屋さんや達磨、棒灸、ラック灸を使用することが多いですね。セラミック電気温灸器は知熱灸代わりに使用している感覚です。効率的に感じられる症状は、慢性期の腰痛、五十肩、それに捻挫ですね。急性期の捻挫はアイシングや固定を行いますが、慢性期の場合、セラミック電気温灸器が痛みを和らげるのに効果を発揮する印象です。

今後、セラミック電気温灸器が活躍するシーンが増えてくると予想しています。色々なお考えがあるかと思いますが、患者様にとって喜ばしい治療ができるのなら、電気温灸器を積極的に取り入れていくことに賛成です。治療家は臨床を確認して、患者様に効果・効能を説明する姿勢が大切だと考えていますので、セラミック電気温灸器のエビデンスはとても心強く、基本性能、安全性の高さと併せて、私の必需品になっています。