トワテック メディカルレポート

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vol.0114MP関節ロッキング

今回は、手のMP関節ロッキングについて書こうと思います。
比較的珍しいもので、自分も数例しか経験したことありません。

ロッキングとは、その言葉の通りで、指が引っかかったかのように動かなくなることです。
MP関節ロッキングは母指、示指MP関節に多いですが、母子と示指で病態はやや違っています。

母指の場合、MP関節を過伸展した際に掌側支持機構が破綻し、橈側種子骨や掌側板がMP関節に嵌入し指が伸展位に固定され、屈曲障害が発生します。
示指の場合、MP関節橈側側副靭帯と副靭帯が第2中手骨骨頭橈側顆部の骨突出部や骨棘に引っかかり、MP関節は軽度屈曲位をとり、伸展制限が発生します。
また、その際屈曲することは可能です。

外傷を契機とする母指とは違い、加齢や外傷後の骨の変形等が原因となります。
なので、腫脹や圧痛といった局所所見はあまりありません。

検査はXPが重要です。
母指では種子骨の位置がずれていないか、MP関節内へ嵌入していないか等を確認します。
示指では骨頭の形や骨棘の有無を見ます。

治療法ですが、ここが一番のポイントで、徒手整復法がやや特殊です。
関節脱臼の際は関節を引っ張った後に解剖学的位置まで戻しますが、ロッキングの際は引っ張らずに関節に軸圧をかけて押し付け、その後ゆっくりと屈曲や伸展を繰り返します。
これにより母指では関節内に陥入した掌側板を外します。
示指の場合は緊張した側副靭帯や副靭帯を緩めることにより引っかかりを解除します。
しかし、母指の場合は徒手整復が無効な場合も多く、準緊急的に手術が行われることが多いです。

示指の場合もロッキングを繰り返したり、徒手整復が無効な場合には手術が行われます。

北村 大也先生
整形外科医

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