トワテック メディカルレポート

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vol.0169変形性膝関節症について

梅雨のじめじめしたこの時期によくある症状として挙げられるのが変形性膝関節症です。
最近は健康番組等も増え、一般の方々の理解力も増えてきたこの症状について、確認していこうと思います。

まず変形性関節症(OA)とは、関節軟骨の変性摩耗を特徴とし、関節構成体や関節近傍組織に生じる一連の二次性変化を包括した疾患と定義されます。
その中で有病者数及び有病率を見ていきますと、有病者数がX線学的膝OAでは約2,500万人有病率が60歳以上で男性47%女性70%となっています。
ただ、無症状のものも多く、痛みを伴うものは20~40%程度しかありません。

次に膝OAの痛みの特徴ですが

  • 動作開始時や歩行時などの運動時痛が主体。
  • 皮膚の痛みと比べると、局在がはっきりしなく、鈍い、不快、長引きやすい。
  • 痛みの程度は活動性に依存する(心理状態も痛みの変化に関与)
  • 内側OAの疼痛部位は内側FT、膝窩部、鵞足部の順に多い。
  • などが挙げられます。

更に痛みの発生部位を見ていきますと、60~70%の症例で関節内組織(関節軟骨、軟骨下骨、滑膜、関節包、膝蓋下脂肪体、関節内靭帯)由来での痛みが主になります。
その膝関節構成組織には、侵害刺激を伝達する末梢神経が密に分布し、特に疼痛関連ペプチドであるCGRPを含有する神経線維は滑膜や膝蓋下脂肪体に密に分布しています。

更に関節、骨は神経ペプチドを有する感覚神経により支配されており、炎症性疼痛が発症しやすくなっており、神経ぺプチドを有する感覚神経は求心性にシグナルを送るだけではなく、神経終末から神経ペプチドを遊離させ効果器としても機能する働きもあります。
そして放出されたペプチドは炎症・免疫細胞を活性化し周辺に腫れ、痛みなどの神経性炎症を引き起こすという訳です。

ですので、膝OAの治療に関して神経ペプチドを有する痛覚神経をターゲットにした治療法が理にかなっているということなのです。

膝OAの痛みは患者の活動性により大きく変動しますが、しっかりと症状、状況を把握して施術に生かしていきましょう。

北村 大也先生
整形外科医

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