• インタビュー
  • 2021/08/20

「嫌われても痛くもかゆくもない」ヤバイ社長の独立開業論

「僕が答えたこと、そのまま書いてくださいね」。歯に衣着せぬ物言いで取材に応じてくれた瀬谷崎将也氏は最後にそう付け加えた。〝ヤバイ治療家集団の社長〟を名乗り、SNSやセミナーでは時折、過激と思える発言も目立つ。「人から嫌われようが関係ないんです。どう思われているとか、あまり考えたことがない」——とはいえ、無軌道な人間に優秀な人材は付いてこない。とんとん整骨院の採用方針、瀬谷崎流・育成術を聞くなかで、業界に一石を投じる異端児の素顔が見えてきた。
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瀬谷崎 将也
株式会社とんとん代表取締役
1990年5月9日生まれ。大手整骨院を退職後、2016年にとんとん整骨院を開業。「最上級のサービス」、「誠実な施術」、「顧客満足の追求」をモットーに、現在は東京・神奈川に3店舗の鍼灸整骨院を運営。SNSでは臨床やセラピストの働き方に変革を促す情報を積極的に発信している。



トワテック
とんとん整骨院は「個の力」が強い治療家集団のイメージがあります。

いずれは独立開業を目指す方も出てくるのではないでしょうか。


瀬谷崎
実際に独立開業に向けて準備を進めている社員はいますよ。治療家から経営者の立場に変わることで、初めて見えてくるビジョンもあるわけです。開業を志している人間には僕がヒアリングを重ねて、目指していく方向性をしっかりと確認しています。

トワテック
瀬谷崎さんは独立賛成派ですか?

瀬谷崎
実はあまりそうは思いません。独り立ちしたい、社長になりたいという気持ちは分からなくもない。独立することで、一皮むけて成長もするでしょう。ただ、開業するためには経営や集客の勉強もしなくてはいけない。そういった経営学を学べる環境で雇われている治療家は皆無だと思っているので、独立して初めて現実を知るわけです。そうすると自身が理想としていた治療方針から、どうしてもシフトしなきゃいけなくなる。

トワテック
治療院の経営と施術サービスは両立できない?

瀬谷崎
そんなことはないですよ。個人的な考えですけど、経営と治療を切り分けられる環境や仕組み、経験が備わっている独立開業には賛成です。ただ、外目を気にした独立をすると、毎月キャッシュが減って銀行口座の残高を見た時に臨床の勉強なんて考えられなくなる。けれども、患者さんは毎日治療院にやってくる。こんな状況が続いたら、経営のために理想を切り捨てざるを得ないタイミングが訪れるんじゃないでしょうか。

トワテック
経営面を重視するあまり、施術がおろそかに……?

瀬谷崎
金儲けの詐欺師に走りたいならいいと思いますよ(笑)。でも、僕は患者さんが主語にならない将来的ビジョンは違うと思っていますから。社長って呼ばれたい、雇われの身が嫌だから独立したい——そういう自分が主語の独立には虫酸が走りますね。そういった意味から安易な独立開業には反対しています。経営者の視点と治療家としての患者さんへの思いが本末転倒にならなければ、僕は喜んで送り出しますよ。


トワテック
瀬谷崎さんの発言は切れ味鋭いナイフのようですけど(笑)、生まれ持っての性格ですか?

瀬谷崎
独立した頃は自信もなかったので、1年間くらいは大人しくしていました。ただ、ある程度は攻撃的な性格の持ち主なんだと思います。僕には嫌われたら困る人がいませんし、誰かに嫌われても痛くもかゆくもないので、好き放題言えるんじゃないかな。SNSでも、みんなが切り出しにくいことを積極的に発言する立場だと思って発信しているつもりです。

トワテック
鋼のメンタルですね。

瀬谷崎
いや、ダメージは受けますよ。過去に失敗もたくさん経験しています。採用でミスったと感じたこともありますし、辞めて欲しくない社員が去ってしまったことや、時には苦渋の決断もありました。でも、気づくことが大事だと考えています。失敗を経験値として貯めて活かせるかどうかがカギで、僕はひとつ失敗すると普通の人よりも挫折する方なんです。そうした意味で、より少ないダメージで挫折できることは、我ながらめちゃくちゃ得な性格だと思っていますけどね。

おまけ動画「瀬谷崎将也に10の質問(後編)」

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取材
トワテック編集部(柔整チーム)
トワテックの柔整師・トレーナー担当部署。商品開発、通販サイトの運営、取材を主な業務としている。平均年齢は30代。

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